毎日おなじ手順で、人がパソコンに向かっている
同じ画面を開き、同じ場所から数字を拾い、同じ形に打ち直す。 考えることは何も無いのに、時間だけは毎日きっちり持っていかれる。
この種の作業は、いまの機械なら置き換えられます。 ただし、全部ではありません。 どこまで渡してよいかには線があり、その線は作業の難しさでは決まりません。
先に結論を書きます。渡してよいかどうかを決めるのは、次の3つです。 手順が言葉にできるか。入ってくるものの形が決まっているか。まちがいにその日のうちに気づけるか。 3つ揃っていれば、機械の出来が完璧でなくても任せられます。欠けていれば、どれだけ賢い道具を入れても人の時間は減りません。
渡してよい作業と、まだ人がやる作業
相談をいただくとき、たいてい「うちの仕事は特殊だから難しい」とおっしゃいます。 ところが実際に1か月ぶんのファイルを拝見すると、特殊なのは全体の1〜2割で、残りは毎回まったく同じ手順を踏んでいます。 難しいから残っているのではなく、切り分けていないから丸ごと人がやっている、という形がほとんどです。
機械に渡せる形
- ・手順を人に説明できる(「まずここを開いて、この列を見て…」と言える)
- ・入ってくるものの形が毎回だいたい同じ(請求書・注文書・打刻・売上明細)
- ・まちがえたら、その日のうちに誰かが気づく
- ・やり直しても損害にならない
まだ人が持つ形
- ・手順が説明できない(「見れば分かる」で終わる)
- ・相手や状況で扱いが変わる(値引き・特別対応・力関係)
- ・まちがいが数か月あとに発覚する
- ・出した結果が、そのまま社外への約束になる
左に当てはまるなら、規模は関係ありません。1日5分の作業でも、毎日あれば年間20時間を超えます。 右に当てはまるものを無理に渡すと、確認のほうに時間がかかって、かえって遅くなります。 最初に決めるのは道具ではなく、この線をどこに引くかです。
1週間だけ、数えてみてください
自社にどれだけ残っているかは、聞き取りでは出てきません。 本人にとっては当たり前の作業なので、「特にありません」と返ってくるのが普通です。数えると出ます。
1. 同じ数字を、何回打ち直しているか
ひとつの金額が、見積・注文・請求・入金・会計と、いくつの画面に打ち込まれているか。 3回以上あれば、そのあいだのどこかは機械に渡せます。
2. 同じファイルを、週に何回開いているか
開くたびに同じ場所を直しているなら、それは作業ではなく手順です。手順は書けます。書ければ渡せます。
3. その作業ができるのは、何人いるか
1人しかいない作業は、置き換えの候補であると同時に、いま止まると困る場所でもあります。 優先順位はここで決まります。
この3つを1週間つけるだけで、社内のどこに時間が沈んでいるかが数字になります。 相談をいただくときも、この紙が1枚あるだけで話が早くなります。
当社が実際に置き換えたところ
他社に何十社と入れた実績はありません。書けるのは、自社と自社の関係先で動かしているものだけです。 どれも「全部を機械がやる」形にはしていません。
請求書を出したあとの、入金の突き合わせ
振込名義と請求先が一致しない、分割で入る、手数料が引かれている。 機械が出すのは候補までで、確定は人がやります。試せるサンプルとプロンプトを置いてあります。
お困りごと 01勤怠1か月を、168時間に並べ直す
月の合計だけを見ているうちは、いつ・どこが薄いのかが分かりません。 人が電卓で出せない形に並べ替えるのは、機械が得意なことのひとつです。
お困りごと 06どのファイルが生きているのか分からない
置き換える前に、いま何が動いているかを数える必要があります。 棚卸しはその場で試せる形にしてあります。
逆に、当社がいまも人の手で残しているものもあります。値引きの判断、初めての取引先の与信、 見積書に最後に添える一文。ここは渡していません。 機械の答えをそのまま承認する形になると、 まちがいに気づく経路が消えるからです。
空いた時間の行き先を、先に決める
置き換えの相談で、いちばん多い失敗はここです。作業は減ったのに、その時間の行き先が決まっていない。 すると数か月で元に戻ります。人は空いた時間を、また別の手作業で埋めてしまうからです。
先に決めておくのは難しい話ではありません。 「毎月2日かかっていた集計が半日で終わったら、その1日半で何をするか」を、置き換える前に言葉にしておくだけです。 お客様への連絡、見積の追いかけ、現場の段取り——たいていは、ずっと後回しにしてきたことが出てきます。
人が採れないことが前提になっている会社なら、 今いる人数で回る形に組み替える話 のほうが先かもしれません。置き換えは、その手段のひとつです。
最初の1つと、頼み方
相談の入口は、道具の名前でなくて構いません。むしろ、次の言い方でいただけると、その場で答えが出せます。
「毎週◯曜日に、◯◯という作業を◯時間やっています。これは置き換えられますか」
この1行があれば、置き換えられるか・どこまでか・どのくらいかかるかは、たいてい最初のやり取りで見当がつきます。 置き換えないほうがよい場合は、その理由をお伝えします。 全部を診断してからでないと話が始まらない、ということはありません。 作業1つから始めて構いませんし、そのほうが早く終わります。
どこまで機械に渡すかを、会議で決めるための1枚
止まっている業務を書き出して、最初の1つに絞るための記入欄が入っています。渡してよい作業の線引きメモも同じ紙にあります。
- 5段それぞれの「判定する質問」と、できている/途中/まだ のチェック欄
- 各段の「次の一手」— 明日から何をするかが書いてある
- 止まっている業務を4つ書き出して、1つに絞るための記入欄
- AIに読ませてよいデータ/読ませないデータの線引きメモ
PDF(A4・2枚/印刷して配る用)と Excel(書き込む用)の2種類をお渡しします。 費用はかかりません。
社内で説明するときは、そのまま使って構いません。
その作業、置き換えられるかどうかだけ見ます
いま毎週かならず発生している作業を1つだけ挙げてください。 実物のファイルがあれば、整えずにそのままお持ちください。手で直した跡や例外の行が、いちばん大事な情報です。
初回はオンラインで伺うところから始めます。 いまのままで問題ないと判断したら、そのようにお伝えします。
この作業が置き換えられるか見てもらうお困りごとシリーズ
台帳をぜんぶ見る症状ではなく「これは何の問題なのか」を定義し、実際に見えるようにしたところまでを1本ずつ書いています。
毎日おなじ手順で、人がパソコンに向かっている
手順が決まって判断の要らない作業が、人の時間で回り続けている
AIが出した答えを、そのまま承認している
参考値のつもりで出させた機械の答えが、いつのまにか結論になっている
見せられるもの:入金消込(読ませるのは候補まで、確定は人) 11人が採れない。増員という選択肢が最初から無い
足りないのは人ではなく、今いる人数で回る形に組み替えられた業務
見せられるもの:168時間配置ビュー/入金消込サンプル 08ホームページはある。でも、問い合わせが来ない
問い合わせ数だけでなく、商談・受注につながる場所まで育てる
見せられるもの:自社サービスで0件 → 半年 → 月30件にした記録 07新サービスを作っても、客が来ない
発注者が探す市場かを、作る前に確かめられていない
見せられるもの:自社サービスで0件 → 半年 → 月30件にした記録 09請求書を出したあと、入金予定を手で打ち直している
請求と入金が別の場所にあり、繋いでいるのが担当者の頭の中だけ
見せられるもの:サンプル3ファイル+プロンプト(その場で試せる) 10サーバーが古いと言われたが、どこも引き受けてくれない
サーバーが古いのではなく、Webと業務とメールが同じ場所で絡んで作業範囲を確定できない
見せられるもの:老朽サーバーのAWS移行(調査から本番切替まで) 01人を増やしても、現場が楽にならない
人手不足ではなく、時間帯ごとの配置が見えていない
見せられるもの:168時間 配置ビュー 02案件の利益が、締めてからしか分からない
見積・原価・入金が別の場所にあり、突き合わせが月末しかできない
見せられるもの:見積・原価・入金を1本に通した工事業務の仕組み 03ベテランの頭の中にしか、正解がない
文書がないのではなく、文書に聞けない
見せられるもの:マニュアルRAG 06古いシステムを、もう誰も直せない
システムが古いのではなく、仕様がプログラムの中にしかない
見せられるもの:業務ファイル棚卸しツールどのお困りごとから入っても、進め方は同じです。 経営のお困りごとに伴走する進め方 にまとめています。 そもそもAIをどこから始めればいいか決まっていない場合は、 AXの現在地 (松尾豊教授のAX1〜5で自社の位置を決める)から読んでください。
よくいただく質問
どの作業から頼めばいいですか
毎週かならず発生していて、手順が決まっていて、まちがえてもその日のうちに気づける作業。この3つが重なるところから始めてください。金額が大きい作業や、判断が混ざる作業を最初に選ぶと、確認のほうに手間がかかって続きません。最初の1つは小さいほど良く、当社がいちばん多く相談を受けるのは、請求書と入金の突き合わせ、勤怠の集計、注文書の転記の3つです。
うちの作業は例外が多いので、置き換えは無理ではありませんか
例外があるから無理、にはなりません。全部を機械に渡そうとすると無理になります。ふつうの形は、判断の要らない大半を機械が処理して、形が合わないものだけを人に返すというものです。当社が自社の入金消込で作っているのもこの形で、機械が出すのは候補までにして、確定は人がやっています。例外が何割あるかは、1か月ぶんの実物を見れば数えられます。
置き換えたら、その作業をしていた人の仕事は無くなりませんか
無くなるのは作業であって、仕事ではありません。実際に起きるのは入れ替えです。転記や突き合わせに使っていた時間が、確認・お客様への連絡・段取りに移ります。当社が関わった範囲では、空いた時間の行き先を先に決めていない会社ほど、置き換えたあとに元へ戻っていました。何を減らすかと同時に、空いた時間で何をするかを決めてください。
ChatGPTを社員に使わせれば済む話ではありませんか
性質が違います。文章を考える・調べるといった対話でその場が片づく仕事には、そのまま効きます。一方、毎月決まった日に、決まったファイルを、決まった形で処理する作業は、人が画面を開いて貼り付けている限り人の時間が要ります。ここを置き換えるには、動かす仕掛けと、まちがいに気づく経路が要ります。対話で済むものと、仕組みが要るものを分けて考えてください。
まず何を用意すればいいですか
いま使っている実物のファイルを1か月ぶんだけご用意ください。きれいに直さないでください。手で直した跡、例外の行、担当者だけが分かる略語——置き換えられるかどうかは、そこを見れば分かります。整えてから見せていただくと、いちばん大事な情報が消えてしまいます。
このページについて
当ページは、当社が自社および関係先の業務で実際に置き換えた範囲だけをもとに構成しています。 他社への導入実績や、置き換えによる削減時間の一般的な数値は掲載していません。 なお、働き方とAIを扱う番組として、2026年9月2日にNHK Eテレ「視点・論点」、 2026年9月4日にNHK総合「首都圏情報 ネタドリ!」の放送が予定されています。当ページは番組とは無関係です。
まず、棚卸しから
初回の棚卸しは無料です。30分オンラインで伺って、「数字にできるか・どこから手をつけると効くか」の見立てをお返しするところまで。合わなければそこで終わりで構いません。
- 1 下のフォームを送る。箇条書き1行で構いません
- 2 30分オンライン。資料の準備は不要。いつもの帳票をそのまま見せてください
- 3 見立てを無料でお返し。進める場合の概算費用もこのとき出します