そのファイルが止まると、
業務も止まる。
先に書いておきます。Excel が悪いのではありません。 無理が出るのは、Excel が「表計算」ではなく業務システムの代わりに 使われ始めてからです。境目はわりとはっきりしています。
どこからが「限界」か
一人で使っているうちは道具。
複数人が同じものを更新し始めた時点から、システムになる。
Excel には、業務システムなら当たり前に持っている機能がありません—— 誰がいつ何を変えたかの記録、同時に触ったときの制御、入力してよい値の制約。 一人で使っている限りこれらは要りません。人が増えた瞬間に、全部が要るようになります。 そして足りない分は、人の注意力で埋められることになります。
限界が来ているサイン
ファイル名に日付と人名が付き始めた
「受注管理_最新_佐藤修正_0715.xlsx」。どれが本物か、開くまで分かりません。
「開いてる人います?」が飛び交う
同時に触れないので、待ちが発生します。待ち時間は誰の作業記録にも残りません。
マクロが止まると業務が止まる
手順そのものがコードに入っているのに、中を読める人がいない状態です。
同じ数字を二か所に入力している
どちらかを直し忘れる日が必ず来ます。来たときに気づける仕組みがありません。
月末にファイルを突き合わせている
本来は繋がっているべき情報が、別々のファイルに分かれている印です。
「あの人しか触れない」ができている
その人が休むと止まります。属人化はここから始まります。
当てはまらないなら、今のままで足ります。
一人か二人で回っていて、止まった経験も無いなら、置き換える理由はありません。 「Excelだから」を理由に投資する必要は無いということです。
自分のブックが、どれだけ絡まっているか
サインに心当たりがあっても、それがどのくらいの規模なのかは開いても分かりません。 ブックを読ませると、シート同士がどう参照し合っているかが図になります。 数式が何個あって、どのシートに集中しているか。非表示のシートがあるか。マクロが入っているか。
そのうえで、空のまま残っているシート、名前から見て古い年度のもの、 数式で繋がっていないのに同じ項目名が別のシートにもある箇所—— つまり人が目で見て転記している疑いのある場所を指摘します。
ファイルはサーバに送られません。 読み取りは全部ブラウザの中で動いていて、受け取る口をこちら側に作っていません。 ページを開いたあと通信を切ってから読ませても、そのまま結果が出ます。
全部を捨てないでください
「脱Excel」を掲げて全部を置き換えると、ほぼ確実に現場が不便になり、 裏で新しいExcelが生まれます。Excel の自由度は本物の強みで、それを丸ごと取り上げると業務が遅くなります。 置き換えるのは、次の2つだけで足りることが多い。
複数人が同時に触る部分
受注・原価・在庫の入力など。ここだけを画面にすると、待ちと転記と二重入力が消えます。
間違えると金額が狂う部分
単価の参照、原価の積み上げ、請求の作成。ここは人の注意力に頼らせない価値があります。
集計と分析は、Excel に出し続けたほうが速い。
入力と計算を画面に移したうえで、そこから Excel に出せるようにしておく——これが現実的な形です。 現場は使い慣れた道具を取り上げられないし、数字は一か所に集まる。 Excelを敵にしないほうが、結果的に早く定着します。
実際に、置き換えました
どちらも Excel と人の記憶で回していた業務を読み解いて、動く画面にしたものです。 ただし、よそから引き取ったExcel業務を置き換えた経験はありません。 自分の手が入っている範囲でやったこと、という前提で見てください。
SolarEstimate
図面PDFから部材を拾って見積を作る。人の手と記憶に依存していた工程を画面に移した。
Mercury-Link
工事案件のP/L。四か所に散っていた数字を1つの画面に集約した。
Access で動いている場合は Accessの移行、 そもそもなぜ誰も直せなくなるのかは お困りごと06 に書いています。
システム化の発注を検討している方へ
比較サイトで開発会社を並べる前に、線を1本引いてください
「Excelのシステム化」の見積は、どこまで置き換えるかで数倍変わります。 線を引かずに相見積を取ると、各社が違う範囲を見積もるので、金額を比べているつもりで別のものを比べることになります。 このページの棚卸しツールでご自身のブックの構造を出してから声をかければ、どの会社に頼むにしても見積の精度が上がります。 計画によっては補助金が使える場合と使えない場合があり、その見立ても棚卸しに含みます。
よくいただく質問
Excel をやめたほうがいいということですか
違います。Excel は優秀な道具で、やめる必要はありません。問題になるのは、Excel が「表計算」ではなく「業務システム」の代わりに使われ始めてからです。複数人が同じファイルを更新する、マクロが業務の手順を担っている、そのファイルが止まると業務も止まる——この状態になったときだけ、置き換えを考える価値があります。それ以外は今のままで足ります。
作った人が辞めてしまい、マクロの中身が分かりません
マクロ(VBA)は仕様書に現れないまま業務の手順を担っていることが多く、ここが読めないと置き換えの範囲が決まりません。ただしファイル自体からは、シート構成・項目名・件数・数式の依存関係・マクロの有無までは機械的に取り出せます。まずそこまでを出して、残りをマクロの中身の読み取りで埋めます。このページから、ブラウザだけで動く棚卸しツールをその場で試せます。
全部を作り直す必要がありますか
ありません。むしろ全部を置き換えようとすると、Excel の自由度に慣れた現場が必ず不便になり、裏で新しいExcelが生まれて元に戻ります。置き換えるのは「複数人が同時に触る部分」と「間違えると金額が狂う部分」だけで十分なことが多い。集計や分析は Excel に出し続けたほうが速いです。
ファイルの中身を見せずに相談できますか
できます。棚卸しに必要なのは構造であって中身ではありません。シートの名前、項目名、だいたいの件数、何人で使っているかが分かれば見立ては立ちます。このページの棚卸しツールもブラウザ内だけで動き、ファイルはサーバに送られません。結果のスクリーンショットだけをお持ちいただく形でも構いません。
Excel から置き換えた実例はありますか
2件あります。自分たちの太陽光工事の見積を図面PDFから自動作成する SolarEstimate と、マーキュリー(PDCE)の工事案件の損益を一元化した Mercury-Link です。どちらも Excel と人の記憶で回していた業務を読み解いて、動く画面に置き換えたものです。ただし、よそから引き取ったExcel業務を置き換えた経験はありません。自分の手が入っている範囲でやったこと、という前提で見てください。
Excel業務のシステム化を開発会社に頼むと、費用は何で決まりますか
ファイルの数ではなく、置き換える範囲で決まります。複数人が同時に触る部分と、間違えると金額が狂う部分だけに絞れば安く済み、Excelの全機能を再現しようとすると跳ね上がります。だから頼む前に「どこまで置き換える価値があるか」の線引きが要ります。当社はその線引きの見立てまでを無料の棚卸しでやっています。棚卸しツールの結果があれば、他社への相見積にもそのまま使えます。
見積を取る前に、こちらで準備しておくものはありますか
整理された資料は不要です。どのファイルを・何人で・どの頻度で使っているか、止まったことがあるか、作った人がまだ社内にいるか。この4つが分かれば見立ては立ちます。このページの棚卸しツールにファイルを通せば、シート構成や依存関係は機械的に出ます(ファイルはサーバに送信されません)。
どこまで置き換えるべきかを、一緒に線引きする
初回の棚卸しは無料です。どんなファイルを何人で使っているか、止まったことがあるか、誰が直せるか。30分オンラインで伺って、「置き換える価値があるのはどこまでか」の見立てをお返しするところまでが無料の範囲です。棚卸しツールの結果のスクリーンショットだけでも構いません。
- 1 下のフォームを送る。箇条書き1行で構いません
- 2 30分オンライン。資料の準備は不要。いつもの帳票をそのまま見せてください
- 3 見立てを無料でお返し。進める場合の概算費用もこのとき出します
お困りごとシリーズ
台帳をぜんぶ見る症状ではなく「これは何の問題なのか」を定義し、実際に見えるようにしたところまでを1本ずつ書いています。
ホームページはある。でも、問い合わせが来ない
問い合わせ数だけでなく、商談・受注につながる場所まで育てる
見せられるもの:Mercury PDCE(0件 → 半年 → 月30件) 07新サービスを作っても、客が来ない
発注者が探す市場かを、作る前に確かめられていない
見せられるもの:Mercury PDCE(0件 → 半年 → 月30件) 09請求書を出したあと、入金予定を手で打ち直している
請求と入金が別の場所にあり、繋いでいるのが担当者の頭の中だけ
見せられるもの:サンプル3ファイル+プロンプト(その場で試せる) 10サーバーが古いと言われたが、どこも引き受けてくれない
サーバーが古いのではなく、Webと業務とメールが同じ場所で絡んで作業範囲を確定できない
見せられるもの:老朽サーバーのAWS移行(調査から本番切替まで) 01人を増やしても、現場が楽にならない
人手不足ではなく、時間帯ごとの配置が見えていない
見せられるもの:168時間 配置ビュー 02案件の利益が、締めてからしか分からない
見積・原価・入金が別の場所にあり、突き合わせが月末しかできない
見せられるもの:Mercury-Link 03ベテランの頭の中にしか、正解がない
文書がないのではなく、文書に聞けない
見せられるもの:マニュアルRAG古いシステムを、もう誰も直せない
システムが古いのではなく、仕様がプログラムの中にしかない
どのお困りごとから入っても、進め方は同じです。 経営のお困りごとに伴走する進め方 にまとめています。 そもそもAIをどこから始めればいいか決まっていない場合は、 AXの現在地 (松尾豊教授のAX1〜5で自社の位置を決める)から読んでください。