古いシステムを、
もう誰も直せない。
これは「システムが古い」問題ではありません。
仕様が、動いているプログラムの中にしか残っていないというお困りごとです。
何をしているか読み取れない限り、直すことも、止めることも、作り直しの見積を出すこともできません。
こういう言い方で相談が来ます
どれも症状です。原因はまだ言えていません。
「作った会社と連絡がつかない。もうその会社が無い。」
「Access で動いている。作った担当者はとっくに辞めた。」
「Excel のマクロが止まると、業務も止まる。」
「直したいが、触ると何が壊れるか分からない。」
「Windows の更新のたびに、今度こそ動かなくなるのではと身構える。」
「新しくしたいが、今のが何をしているのか誰も説明できない。」
これは何の問題か
動いているのに、何をしているか誰も言えない状態。
仕様が、プログラムの中にしか残っていない。
直せないのは技術力の問題ではありません。正解が読み取れないからです。 腕のいい技術者を連れてきても、まず「これは何をしているのか」を調べるところから始まります。 そして多くの場合、その調査こそが誰も引き受けたがらない部分です。 誰も悪くありません。作った当時は、作った人が全部分かっていた——というだけです。
なぜ従来の打ち手では解けないのか
1.「作り直す」の見積が、そもそも出てこない
見積を出すには何を作るかが要ります。ところがその要件は、いま動いているものの中にしかありません。 開発会社から見れば、範囲の読めない仕事です。だから大きくリスクを乗せた金額になるか、やんわり断られます。 高いのではなく、読めない分がそのまま価格になっているということです。
2.「パッケージに乗せ替える」が、途中で刺さる
既製品に寄せる判断自体は正しいことが多い。ただし必ず、パッケージの前提と自社のやり方がズレる部分が出ます。 そしてそのズレている部分こそ、どこにも書かれていない部分です。 導入の終盤になって発覚し、そこで止まります。
3.「分かる人を採る」は、属人化を先送りするだけ
採用できたとしても、その人も同じ「読み取れない」壁の前に立ちます。 読み解いてくれたとしても、その理解がまた一人の頭の中に入るだけなら、 同じ状態が一人ぶん先に延びるだけです。
4.「動いているから触らない」が、いちばん高くつく
先送りしている間に、当時を知る人がさらに減ります。判断材料は増えず、減り続ける。 しかも動かなくなる日は自分では選べません。 いちばん高い選択肢が、いちばん決断が要らないのがこのお困りごとの厄介なところです。
先にやるのは作り直しではなく、読み取ることです。
何がどこにあるかさえ紙に出れば、範囲が決められます。範囲が決まれば見積が出ます。見積が出れば判断できます。 順番を逆にすると、金額が大きくなりすぎて必ず止まります。
このままだと、こういうことが起きます
止まった日が、業務が止まる日になる
バックアップがあっても、戻せる人と直せる人がいなければ復旧しません。
制度変更に追随できない
税率・様式・保存要件が変わったとき、直せないぶんを人の手作業で埋めることになります。
動かす環境ごと維持できなくなる
OS や Office のサポートが切れると、古い端末を1台だけ残して延命する形になります。
過去のデータが取り出せなくなる
中に何年分も入っているのに、読み出す手段がその古いシステムしかない状態です。
次の投資が決められない
今のが何をしているか分からないので、置き換えの範囲も金額も決められません。
「触らない」が申し送られる
引き継ぎのたびに禁足地が増え、業務の一部が誰の担当でもなくなります。
動いているものから、仕様を取り出す。
ファイルを読ませると、下の「2」と「3」がその場で出ます
Access(.mdb / .accdb)や Excel(.xlsx / .xlsm)を読み込ませると、テーブル・項目・件数・繋がりに加えて、 空のまま使われていない箇所、名前から見て古い年度のもの、数式で繋がっていないのに同じ項目名が別の表にもある箇所—— つまり人が手で突き合わせている疑いのある場所——を指摘します。
ファイルはサーバに送られません。読み取りは全部ブラウザの中で動いていて、 受け取る口をそちら側に作っていません。手ぶらで試せるサンプルも置いてあります。
棚卸しツールを試すただし、ここも正直に書いておきます
- —ツールが出せるのは「何がどこにあるか」までです。そのうちどれが実際に業務で回っているかは、使っている人に聞かないと分かりません。
- —他社構築の老朽サーバー群を引き継ぎ、AWSへ移した実績があります。WordPressだけでなく、フォーム、メール、DNS、WAF、社内サービスまで依存関係を調べて切り替えました。
- —これは全面的な作り直しではなく、動いている仕組みを解読し、止めずに新環境へ移した実績です。匿名の移行記録を公開しています。
- —そのうえで、手をつける順番は決まっています。以下がその順番です。
現物を受け取る
.mdb / .accdb / .xlsm、帳票のPDF、画面のスクリーンショット
中の構造を取り出す
テーブル・項目・件数・クエリ・フォーム・マクロと、その参照関係
1枚の地図にする
何がどこにあり、どこから読まれ、どこへ書かれているか
使われている所を見分ける
作られたが使われていない機能を落とす。ここで範囲がいちばん減る
置き換える範囲を決める
全部は作り直さない。ここまで出れば見積が出せる
読めるもの、読めないもの
Access や Excel のマクロは、ファイルそのものが設計図を兼ねています。 作った人がいなくても、テーブルと項目とクエリの構成は取り出せます。ここは希望が持てる側です。
読めないのは、ソースの残っていないコンパイル済みの実行ファイル(.exe や .mde)です。 この場合は画面と帳票と実際の操作から逆に組み立てることになり、相応に時間がかかります。 どちらに当たるかは、拡張子を教えていただければその場で判断できます。
同じ行為をやった2件
どちらも「Excel と人の記憶で回っていた業務を読み解いて、動く画面に置き換える」という点では同じことをしています。 他社のシステムを引き取った例ではありませんが、置き換えた後がどうなるかの見本にはなります。
何で動いているかで、話が変わります
同じ「誰も直せない」でも、Access と Excel では悪くなり方が違います。それぞれの実務を別に書きました。
「いつかやる」に日付を入れるのは、土台のサポート終了日です
誰も直せないシステムは、たいてい古い Windows か Access か SQL Server の上で動いています。それぞれに更新が止まる日が決まっています。 サポート終了は「動かなくなる日」ではなく「更新が止まる日」です。過ぎても翌日に止まりはしませんが、そこから先は直せる人も直す手段も減っていきます。
Access 2016 / 2019
2025年10月14日
終了済み
Windows 10
2025年10月14日
終了済み
SQL Server 2016
2026年7月14日
終了済み
Access 2021(LTSC 含む)
2026年10月13日
終了済み
Windows Server 2016
2027年1月12日
終了予定
サイボウズ Office パッケージ版
2027年9月30日
終了予定
SQL Server 2017
2027年10月12日
終了予定
Windows 10 と SQL Server 2016 には、法人向けの有償の延長(最長3年)があります。延長は移行の時間を買うものなので、その間に棚卸しを済ませておくのが筋です。 サイボウズ Office のパッケージ版は 2026年9月30日で販売が終わり、2027年9月30日にサポートが終わります。カスタムアプリの中に業務が入っている会社は、その中身を先に取り出しておくと移行先を選べます(kintone へ移る場合はkintone のページに)。 Access の詳しい話はAccess の移行、サーバー側の話はサーバー移行に分けて書いています。
出典: Microsoft 製品ライフサイクル(各製品のページ)、サイボウズ公式サイト(Office パッケージ版のサポート終了・販売終了)。いずれも2026年9月確認。日付は日本時間に直しています。
「決められない」が「決められる」に変わります
読み取った時点では、まだ何も作り替えていません。変わるのは判断できる状態になることです。
触れる範囲と触れない範囲が分かれる
「全部が怖い」が「ここは触っていい」に変わります。日々の小さな変更が通るようになります。
作り直しの見積が出せるようになる
要件が書けるからです。相見積もりを取ることもできるようになります。
全部を作り直さなくてよくなる
使われていない機能を落とせるので、想定より範囲が小さくなることがほとんどです。
データを取り出せる状態にできる
中に溜まった過去数年分を、古いシステム抜きで読める形にしておけます。
属人化の先送りが止まる
読み取った内容が人ではなく資料として残るので、次の担当者がゼロから始めずに済みます。
こういう会社に当てはまります
共通しているのは「業務は回っているが、回している仕組みを説明できない」ことです。
Access・Excelマクロ・古いVBで、受注や在庫や原価の一部が動いている
作った会社が廃業した、または連絡が取れなくなっている
作った担当者が退職し、引き継ぎ資料が実質ない
Windows や Office のサポート終了に追われている
制度や様式の変更を、そのつど手作業で回避している
「これは触らない」と申し送られている業務がある
逆に、当てはまらない場合
いま使っているのが現行のパッケージ製品で、ベンダーのサポートが生きているなら、 まずそのベンダーに相談するのが早くて安いはずです。 このお困りごとは「聞ける相手がもういない」ことが前提です。
よくいただく質問
ソースコードが残っていなくても調べられますか
Access(.mdb / .accdb)や Excel のマクロなら、ファイルそのものが設計図を兼ねているので、 テーブル・項目・クエリ・フォームの構成を機械的に取り出せます。 読めないのは、ソースが無いコンパイル済みの実行ファイル(.exe や .mde)です。 この場合は画面と帳票と実際の操作から逆に組み立てることになり、時間がかかります。 どちらに当たるかは、拡張子を教えていただければその場で判断できます。
作り直すといくらかかりますか
棚卸しをする前は出せません。金額は作る範囲で決まり、その範囲は「いま何が動いていて、そのうちどれが実際に使われているか」が 分からないと決められないからです。開発会社が老朽システムの作り直しに大きな金額を乗せるか断るかするのは、 この読めないリスクを丸ごと価格に入れているためです。 だから最初の棚卸しを無料にしています。
全部を作り直すことになりますか
なりません。棚卸しをすると、作られたが実際には使われていない機能がかなりの割合で出てきます。 長く使われたシステムほどその比率は高い。使われている部分だけを対象にすると、想定より範囲が小さくなることが多いです。 全部を作り直す前提で考えると金額が大きくなりすぎて、結局「今のまま様子を見る」に戻ります。
今のシステムを止めずに進められますか
止めずに進めます。最初にやるのはデータを読み取れる形で外に出すことで、これは現行システムを動かしたままできます。 新しい仕組みができるまでは両方を動かし、片方ずつ移します。 ある日いっせいに切り替える進め方は、戻れなくなるので取りません。
このお困りごとでの実績はありますか
あります。他社が構築した古いサーバー群を調査し、複数のWordPressサイトと業務サービスをAWSへ移行しました。 PHP互換、フォーム、メール、WAF、DNSまで検証し、旧環境を残しながら段階的に切り替えています。 調査から本番切替までの匿名事例を見る
ひとり情シスが退職します。社内システムの属人化を、退職までに何とかできますか
退職日が決まっているなら、それが「外にある期限」です。やることは順番があります。 まず本人がいるうちに、動いているものの一覧(何が・どこで・何を使って動いているか、パスワードと契約の所在)を一緒に作ります。 次に、Access や Excel のマクロはファイルから構造を取り出し、読めるものと読めないもの(ソースの無い実行ファイル)を分けます。 ここまでを退職前に済ませれば、あとは月額の保守・運用(月15〜20万円が目安)で預かって動かし続けられます。作り直しは、預かってから決めれば足ります。
サイボウズ Office のサポート終了で、カスタムアプリの中の業務はどうすればいいですか
サイボウズ Office のパッケージ版は 2026年9月30日に販売が終わり、2027年9月30日にサポートが終わります(サイボウズ公式サイト)。 クラウド版や kintone、Garoon へ移す道はサイボウズが用意していますが、カスタムアプリに何年分の業務が入っているか、どの項目がどこで使われているかは、移す前に取り出しておかないと移行先を選べません。 当社が引き受けるのは、その「中身を読んで一覧にする」ところと、移した先を預かって動かし続けるところです。 状況を見ていくところまで、手順を整えて対応させていただきます。中身の読み取りは、Access や Excel でやってきたのと同じ手順で進めます。
どのくらい時間がかかりますか
棚卸しは、ファイルの現物をいただければ数日で「何がどこにあるか」の一覧までは出ます。 そこから先の作り直しは範囲次第です。棚卸しの結果を見てから判断していただければ十分で、 そこまでは無料の範囲に入れています。
中に入っているデータを外に出して大丈夫ですか
棚卸しの段階で必要なのは構造であって中身ではありません。 どんな項目があり、どこと繋がっているかが分かれば足ります。 個人情報や取引先の情報を含むデータは、伏せた状態でも構いません。 どこまで外に出すかは、最初に決めてから進めます。
いまのシステムが何をしているか、棚卸しする
初回の棚卸しは無料です。30分オンラインで、何で動いているか(Access/Excel/古い業務ソフト)、作った先と連絡がつくか、いま何に困っているかを教えてください。「中を読み取れるのか、画面と帳票から組み立て直しになるのか」の見立てをお返しするところまでが無料の範囲です。
- 1 下のフォームを送る。箇条書き1行で構いません
- 2 30分オンライン。資料の準備は不要。いつもの帳票をそのまま見せてください
- 3 見立てを無料でお返し。進める場合の概算費用もこのとき出します
お困りごとシリーズ
台帳をぜんぶ見る症状ではなく「これは何の問題なのか」を定義し、実際に見えるようにしたところまでを1本ずつ書いています。
kintone を入れたが、ノーコードでは作りきれなかった
止まっているのは画面ではなく、業務の決まりごとと外とのつなぎ
見せられるもの:棚卸し手順(公開)/API で毎晩取得(自社で稼働) 16KING OF TIME の勤怠を、毎月 CSV で書き出して集計し直している
打刻は貯まっているのに、読まれるのは給与計算の日だけ
見せられるもの:KING OF TIME WebAPI で毎晩取得(自社で稼働) 15Windows Server 2016 のサポートが終わるが、上で何が動いているか分からない
困るのは OS ではなく、その上の業務システムの一覧が無いこと
見せられるもの:社内システムの棚卸し手順(公開) 14夏になると生産が落ち、残業と電気代が増える
機械が動いている時間と人がいる時間を、同じ時間軸で見たことがない
見せられるもの:168時間配置ビュー/heat119(現場センサー・自社で稼働) 13毎日おなじ手順で、人がパソコンに向かっている
手順が決まって判断の要らない作業が、人の時間で回り続けている
見せられるもの:入金消込/168時間配置ビュー(自社で稼働) 12AIが出した答えを、そのまま承認している
参考値のつもりで出させた機械の答えが、いつのまにか結論になっている
見せられるもの:入金消込(読ませるのは候補まで、確定は人) 11人が採れない。増員という選択肢が最初から無い
足りないのは人ではなく、今いる人数で回る形に組み替えられた業務
見せられるもの:168時間配置ビュー/入金消込サンプル 08ホームページはある。でも、問い合わせが来ない
問い合わせ数だけでなく、商談・受注につながる場所まで育てる
見せられるもの:自社サービスで0件 → 半年 → 月30件にした記録 07新サービスを作っても、客が来ない
発注者が探す市場かを、作る前に確かめられていない
見せられるもの:自社サービスで0件 → 半年 → 月30件にした記録 09請求書を出したあと、入金予定を手で打ち直している
請求と入金が別の場所にあり、繋いでいるのが担当者の頭の中だけ
見せられるもの:サンプル3ファイル+プロンプト(その場で試せる) 10サーバーが古いと言われたが、どこも引き受けてくれない
サーバーが古いのではなく、Webと業務とメールが同じ場所で絡んで作業範囲を確定できない
見せられるもの:老朽サーバーのAWS移行(調査から本番切替まで) 01人を増やしても、現場が楽にならない
人手不足ではなく、時間帯ごとの配置が見えていない
見せられるもの:168時間 配置ビュー 02案件の利益が、締めてからしか分からない
見積・原価・入金が別の場所にあり、突き合わせが月末しかできない
見せられるもの:見積・原価・入金を1本に通した工事業務の仕組み 03ベテランの頭の中にしか、正解がない
文書がないのではなく、文書に聞けない
見せられるもの:マニュアルRAG古いシステムを、もう誰も直せない
システムが古いのではなく、仕様がプログラムの中にしかない
どのお困りごとから入っても、進み方は同じです。 会ったあとの進み方(宿題→見積→伴走→開発→保守・運用) にまとめています。 そもそもAIをどこから始めればいいか決まっていない場合は、 AXの現在地 (松尾豊教授のAX1〜5で自社の位置を決める)から読んでください。