AIを、
どこから始めればいいのか。
まず現在地を決めてください。
「使ったほうがいいのは分かる。でも何から手をつければいいか分からない」—— いちばんよく聞く言葉です。情報は入ってくるのに、最初の一歩だけが決まらない。
決まらない理由ははっきりしていて、階段が何段あるのかを知らないまま、 いちばん上の段を想像しているからです。段が分かれば、次の一段は自分で決められます。
この地図の出典
AIの活用度を AX1 から AX5 の5段階に分ける見方は、 東京大学大学院工学系研究科 教授・松尾豊先生が講義で示されているものです。 AXは AI Transformation の略で、AIによって会社が変わっていく段階を指します。
以下に書いてあるのは、代表の水野が受講した第1回の講義の内容を、 こちらの言葉で要約したものです。講義資料や図表の転載ではありません。 各段に添えた「うちの実物」は当社が自分でやったことで、松尾先生の講義とは関係がありません。 要約の誤りがあれば、それはこちら側の理解の責任です。
5つの段
上の段ほど偉い、という表ではありません。多くの会社にとって実際に効くのは AX2 と AX3 です。 自社がどこにいるかを指させれば、それでこの表の役目は終わりです。
生成AIを、社内で使える状態にする
自分たちだけでできるまず全員が触れるようにする段。会話でも、メールの下書きでも、資料づくりでも構いません。使える環境があるかどうかで、仕事の速さが大きく変わります。
この段かどうかの判定
経理・営業・現場の人が、自分の判断で今日AIを開けるか
明日できる一手
業務用プランを契約し、「学習に使わない」設定を入れる。ここまでで半日。
うちの実物
このサイトも、社内の調べものも日常的に生成AIで回しています
会社の中のデータと、つなぐ
自分たちだけでできる顧客データ、人事データ、過去の見積、マニュアル。社内にあるものを読ませると、AIは自社の事情を踏まえた答えを返すようになります。汎用の答えが、自社の答えに変わる段です。
この段かどうかの判定
自社のファイルや文書を読ませたうえで答えさせているか
明日できる一手
手作業の集計をひとつ選び、元データと「こう出したい」見本の2つを渡してみる。
うちの実物
マニュアルRAG(社内文書に聞ける)/業務ファイル棚卸しツール
AIを使う前提で、仕事のやり方を組み直す
作業が速くなっただけならAX2です。AX3は、誰が何をやるか・どの順で回すかが変わる段。人は作るのではなく確かめる側にまわります。
この段かどうかの判定
担当者の役割や作業の順番が、前と変わったか
明日できる一手
速くなった業務について「では誰が何をやめるか」を決める。ここを決めないと元に戻ります。
うちの実物
Mercury-Link(見積・原価・入金が別々だった工事業務を1本に通した)
自社の強みを中身に入れた、独自のAIをつくる
「自社だけが使える」という意味ではありません。「自社にしか作れない」という意味です。現場の知識や自社にしかないデータが中に入っているので、他社が同じものを作れない。使うのは何百社でも構いません。
この段かどうかの判定
そのAIの中に、自社にしかないデータかノウハウが入っているか
明日できる一手
自社の一番詳しい業務を1つ選び、その判断ルールを言葉にして書き出す。
うちの実物
SolarEstimate(太陽光工事の見積。図面から部材を拾うルールは現場を知る人しか書けない/特許出願中)
会社を超えて、業界全体で使える基盤をつくる
自社の中に閉じず、業界の共通基盤になる段。階段は閉じる方向ではなく、開く方向に上がっていきます。
この段かどうかの判定
他社の仕組みからも呼ばれる存在になっているか
明日できる一手
—
うちの実物
ありません(やっていません)
AX5 を空欄のまま出しています。
やっていないからです。埋めれば見栄えは良くなりますが、その瞬間にこの表全体が信用できないものになります。 埋まっているところだけを見てください。
AX1 と AX2 は、自分たちだけでできます
松尾先生も講義でそう言われていました。とにかく触ってみてほしいと。 聞くのと触るのとでは、全く違うと。
実際、講義では茨城県のある会社の経理部門にその場でAIを使ってもらう場面が紹介されていました。 毎日1時間かかっていた集計が1分で終わった、という他社の事例です。 同じことを、いま、この場で試せるようにしました。 架空のサンプルファイルとプロンプトを置いてあるので、ダウンロードして貼り付けるだけです。
経理でやってみる(サンプル3ファイル+プロンプト)費用はかかりません。相談も要りません。ここで詰まったときだけ、声をかけてください。
AX3 と AX4 の違い
ここがいちばん混ざります。同じ「AIを使っている」でも、変わる対象が違います。
| AX3 | AX4 | |
|---|---|---|
| 何をする | AIを使う前提で業務のやり方を組み直す | 自社にしかない強みを中身に入れたAIを作る |
| 使うAI | 既製品でいい | 自社のデータ・ノウハウが入ったもの |
| 変わるもの | 社内の人の動き方 | 会社の外に出せる武器 |
| 判定の質問 | 業務のやり方が変わったか | 他社が同じものを作れないか |
AX4 は「自社だけが使える」ではなく、
「自社だけが作れる」という意味です。
ここを取り違えると、内向きに閉じるほど上の段だと感じてしまいます。逆です。 階段は開く方向に上がります。 AX5が「会社を超えて業界全体で使える基盤」であることからも、向きは分かります。
自分たちの2本で言うと
Mercury-Link
使えるのは太陽光工事の1社だけ。完全に閉じています。 それでもAX3です。使える範囲が狭いことは強みではなく、 横に広げられない理由のほうです。
AX3の上/AX4の入口SolarEstimate
契約すれば誰でも使えます。閉じていません。 でも図面から部材を拾って単価を当てるルールは、 太陽光工事の現場を知っている人しか書けない。特許出願中です。
なお SolarEstimate を「AX4」と言い切らずに「AX4の入口」と書いているのは、 独自のモデルを学習させているわけではないからです。自社のルールを既製のAIに載せている構造なので、 正確にはその手前になります。
先に線を引いておいてください
AX2 でつまずく理由は、たいてい技術ではありません。 「これを読ませていいのか分からない」で止まることです。 社員一人ひとりに判断させると、分からないからやめておこう、になります。 会社として線を引いておくと、現場は動けるようになります。
学習に使わせない設定を入れる
業務向けのプランにはほぼ付いています。まずここにチェックを。クラウドを使うかどうかで揉めていた頃と同じ話で、確認して線を引けば済むことです。
どこまで読ませてよいかを紙1枚で決める
経済産業省や業界団体が雛形を公開しています。最初は真似で構いません。自社に合わないところだけ、後から直せば足ります。
嘘をつくことがある前提で使う
もっともらしく間違えます。人がやった作業と同じで、確かめる人を置いてください。担当者の仕事は「作る」から「確かめる」に変わります。
数を数えるのは苦手
写真の中の個数、文章の中の文字数。意外なところで間違えます。得意・不得意を知って使い分けてください。
よくいただく質問
AX3 と AX4 の違いは何ですか
変わる対象が違います。AX3は「仕事のやり方」が変わる段で、使うAIは既製品で構いません。判定は「担当者の役割や作業の順番が前と変わったか」。AX4は「自社にしかないデータやノウハウが中に入ったAIを作る」段で、判定は「他社が同じものを作れないか」です。作業が速くなっただけならAX2、人の役割が変わったらAX3、他社に作れないものができたらAX4、という順で見てください。
「自社の強みを生かした独自のAI」とは、自社だけが使えるという意味ですか
逆です。「自社だけが作れる」という意味で、「自社だけが使える」という意味ではありません。使える範囲が狭いことは強みではなく、横に広げられない理由になります。当社の例で言うと、1社専用に作り込んだMercury-Linkは使えるのがその1社だけですがAX3。全国の施工店が契約して使えるSolarEstimateのほうが、中身を作れるのが当社だけという意味でAX4に近い位置にあります。
どこから手をつければいいですか
AX1とAX2は自分たちだけでできます。まず社内で使える環境を整え(AX1)、次に手作業の集計をひとつ選んで、元データと「こう出したい」見本の2つをAIに渡してみてください(AX2)。当サイトに、請求一覧と入金一覧から集金予定表を作るサンプルファイルとプロンプトを置いています。そのまま試せます。
社内のデータをAIに読ませて大丈夫ですか
業務向けのプランには「入力したデータを学習に使わない」設定がほぼ付いています。まずそこにチェックを入れてください。そのうえで大事なのは、社員一人ひとりに判断させないことです。どこまで読ませてよくて、どこからは駄目かの線を会社として引いておくと、現場は動きやすくなります。線が無いと「分からないからやめておこう」となって、結局何も進みません。ルールの雛形は経済産業省や業界団体が公開しているので、最初はそれを真似て作るのが速いです。
AX5まで行かないといけませんか
いいえ。段が上なほど偉いという表ではありません。多くの会社にとって、実際に効くのはAX2とAX3です。当社もAX5はやっていないので、この表では空欄のままにしています。埋められるところだけ埋めて、次の一段を決めるために使ってください。
自社がどの段にいるか、一緒に決める
初回の棚卸しは無料です。いまどこまでやっていて、次の一段で何をすると効くか。30分オンラインで伺って見立てをお返しするところまでが無料の範囲です。AX1・AX2で足りるなら、そうお伝えします。
- 1 下のフォームを送る。箇条書き1行で構いません
- 2 30分オンライン。資料の準備は不要。いつもの帳票をそのまま見せてください
- 3 見立てを無料でお返し。進める場合の概算費用もこのとき出します
進め方は 経営のお困りごとに伴走する にまとめています。
お困りごとシリーズ
台帳をぜんぶ見る症状ではなく「これは何の問題なのか」を定義し、実際に見えるようにしたところまでを1本ずつ書いています。
ホームページはある。でも、問い合わせが来ない
問い合わせ数だけでなく、商談・受注につながる場所まで育てる
見せられるもの:Mercury PDCE(0件 → 半年 → 月30件) 07新サービスを作っても、客が来ない
発注者が探す市場かを、作る前に確かめられていない
見せられるもの:Mercury PDCE(0件 → 半年 → 月30件) 09請求書を出したあと、入金予定を手で打ち直している
請求と入金が別の場所にあり、繋いでいるのが担当者の頭の中だけ
見せられるもの:サンプル3ファイル+プロンプト(その場で試せる) 01人を増やしても、現場が楽にならない
人手不足ではなく、時間帯ごとの配置が見えていない
見せられるもの:168時間 配置ビュー 02案件の利益が、締めてからしか分からない
見積・原価・入金が別の場所にあり、突き合わせが月末しかできない
見せられるもの:Mercury-Link 03ベテランの頭の中にしか、正解がない
文書がないのではなく、文書に聞けない
見せられるもの:マニュアルRAG 06古いシステムを、もう誰も直せない
システムが古いのではなく、仕様がプログラムの中にしかない
見せられるもの:業務ファイル棚卸しツールどのお困りごとから入っても、進め方は同じです。 経営のお困りごとに伴走する進め方 にまとめています。 そもそもAIをどこから始めればいいか決まっていない場合は、 AXの現在地 (松尾豊教授のAX1〜5で自社の位置を決める)から読んでください。